送電線巡視路の標識が登山口
80号鉄塔越しの秩父御岳山
84号への道(左)と仕事道(右)
の間の尾根を登る
白井指の山頂
白井指からの下山口
稜線沿いに踏跡を辿る
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2002年の登り初めとして、白井指から秩父御岳山へ静かな山を歩きつないだ。奥武蔵には、静かで落ち着いた山が多いが、中でも白井指山は、山のガイドに紹介される事も少なく、入山者の少ない山の典型だ。登山道の標識は全く無いが、近くまで送電線の巡視路が入っており、道はしっかりとしていた。
●巡視路を辿って白井指へ
秩父鉄道の武州日野を降り、国道140号線を20分ほど三峰方面に歩くと、頭上に東京電力の送電線が近づいて来る。送電線をくぐって直ぐ、国道の右側に「新秩父線80号に至る」と記された巡視路の標識が現れた。ここが今日の登山口だ。ここから白井指に至る稜線は「天宮尾根」と呼ばれているが、登山用の標識は一切無く、鉄塔を示す電力会社の杭を頼りに、良く整備された巡視路を歩くことになる。登山口から平坦な道を少し歩いて、鋭角に右折すると階段が始まった。いい加減階段に飽きたころ、80号鉄塔に到着。今日の目的地「秩父御岳山」や、荒川を挟んで「熊倉山」などの展望が開けた。再び樹林帯の中を進み81号、82号を通過、83号への道を左に分け84号への道を進むと、暗い杉林の中で二股に出る。左は84号への道、左は仕事道の様だ。ここで正面の斜面を登る踏跡に入るが、一気に道が細くなり心細をい道となった。尾根筋を外さずにテープを頼りに歩いていくと、幾つかのピークを過ぎた後、「三角点」と記された白井指の山頂に到着した。
白井指の山頂は、小さな広場に二等三角点があり、北側の斜面が開けている。両神山から二子山等の山が見えたが、植林されて若木が育っていて、数年後には展望の無い山頂になるのではないだろうか。白井指の山頂からは、西に向かって伸びる尾根筋を降りることにする。山頂付近の倒木に、白いビニール紐が巻かれていて降口を印していたが、ここから先はテープ類も一切無く、地図と地形が頼りの歩行となった。
●地図と地形を頼りに大指部落へ降りる
白井指から、杉林の中を西に伸びる稜線を下り、登り返して小ピークに向かう。途中から南側が自然林になり、杉林との境を進んでいく。所々で竹藪が出て来るが、迂回すれば稜線を外れることは無い。小ピークで稜線は北西に方向を変えるが、再び西向きになったりするので、地図上の現在位置確認が難しい。「行過ぎたかな。」と思っていたら、稜線上に小さなテレビアンテナが現れた。大指の集落から伸びていると思われるケーブルが、西側の斜面に降りている。万一引返す時にも目印になると思い、ここを下降点として西側斜面を降りる事にした。
暫くケーブルに沿って降りたが、やがてケーブルは左手に曲がり藪の中に消えていた。方向は間違っていないと思い、西側に直進する。稜線から20分程下降した辺りで、送電線の85号鉄塔下に出た。巡視路の杭も立っていて、ひと安心。再び杉林の中を下っていくと、やおら大指部落への林道に出た。
ここまでの行程で、山らしい標識があったのは白井指の山頂だけ。標識の無いコースを辿るのは少々心細いものがあるが、万一道に迷っても、遠からず麓の部落に降りられる里山で、地図と地形を頼りに歩くのは、踏跡の判別や歩行の距離感覚を養う良い機会だ。周囲の変化を判別しながら歩くのも、結構楽しいものである。 |