小田原からバスで仙石まで入り、ここから先ずは金時山を目指した。仙石でバスを降り、近くのコンビニで「ポケットティッシュ」を購入、杉の花粉に備えていざ出発。乙女峠へ向かう箱根街道を5分程歩いた所で右折し、別荘の並ぶ舗装道路を歩いていくと、右手に「金時山登山口」の標識が現れる。ここから登山道だ。先週降った雪が解け、地面がヌカルンで歩きにくい。霜柱が立っていないと言う事は、仙石原周辺の高度では、氷点下まで下がる事が少ないのであろうか。つづら折の坂道を登ること20分位で、「うぐいす茶屋」の立つ矢倉沢峠に到着する。ここからは、箱根外輪山を辿っての、カヤトの尾根歩きだ。
金時山は標高1212mで、箱根外輪山の最高峰だ。標高1000m 前後の外輪山から、最後の200mが兜の様に一気にせり上がっている。最後の登りに入ると、残雪が踏み固められ滑りやすい道となった。アイゼンを付けようか迷っている内に、金時山の山頂に到着する。
金時山の山頂には、金太郎小屋と金時茶屋の二つの小屋が建っていて、山頂に吹く冷たい風を避けて、何人もの登山者が中で休んでいた。厚手のヤッケを被ったが、風が冷たく休む気にはなれそうも無く、自分も小屋に入って休むことにする。奥に建つ「金時茶屋」は、名物の金時娘が健在の茶店だ。店の壁には「金時娘は芸能人ではありません。写真・サイン等は御遠慮下さい」との貼り紙があった。新田次郎の小説「強力伝」のモデルとなった、白馬山頂に188キロの標識を担ぎ上げた富士山の強力、小宮山氏の娘さんが、小屋のお母さんの金時娘なのだそうだ。小屋の中で飲んだ、熱々の味噌汁が美味しかった。
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矢倉沢峠への登山口
矢倉沢峠から金時山
金時山の山頂
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金時山からの足柄峠への道は、北面の尾根筋を辿っての下降となる。軽イゼンを装着し、一歩一歩確実に下ってゆくが、所々青氷になっていて気が抜けない。山頂からの数百mは一気の下りで、ロープや手すりに掴まりながら慎重に進む。急傾斜の登山道は、手摺はあっても一度足を滑らすと危険な場所だ。(写真左)軽アイゼンは氷にはサクサク食込むのだが、岩の上に足を下ろすと歯が食込まず、体重を勢い良く乗せると、ガリッとアイゼンの歯が滑る。平坦部に降りるまでの15分がすごく長く感じた。
荷揚げ用のケーブル基地から先は、車両の通れる林道となる。ゲートから先は林道が舗装道路となり、金時山から約1時間10分で足柄峠に到着した。足柄峠の分岐点の先に足柄城郭跡があり、芝生の植えられた本丸跡から来た道を振り返ると、金時山が正面に大きくそびえていた。 |
金時山から足柄峠へ
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足柄峠の分岐、正面が城郭跡
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足柄城郭から金時山を振り返る
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明るい登山道を辿る
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城郭の中に整備された遊歩道を歩き、再び舗装道路に出るとつづら折の下り坂となった。道端の標識は「金時・富士見ライン」と印されている。道端に地蔵の並ぶ、ほのぼのとした道だ。ただ、どうも方位がおかしい。道が富士山の方向に下っているのである。よくよく地図を見直すと、山北への道は足柄城郭を左手に見なければならない。歩いている道は、城郭を右手に見る道だ。結局、足柄峠まで登り返し、城郭跡の手前にあった分岐点を小田原方面に曲がり、何とか予定のルートに復帰する。約30分のロスだ。舗装道路と言う事で経路判断を油断した。山道もさることながら、車の通る道でこそ、分岐点には注意を払わなければならない。 |
足柄峠から舗装道路を10分程歩き、万葉公園のバス停の先で再び登山道が始まった。矢倉岳への分岐点「清水越」から、「酒水の滝」方面に進む道をとる事にする。清水越までは混成林の明るい登山道であったが、分岐点から先は杉林の中を進む薄暗い道だ。分岐点から約30分で、「21世紀の森」の標識が立つ林道に出た。ここから先は、県の保存林になっていて、森の中に遊歩道が付けられた保存林地帯となる。ひたすら「酒水の滝方面」の標識を辿って歩いたが、公園林の中は遊歩道が錯綜しており、1/25000地図では経路が良くわからない。公園に設置された地図は、経路がデフォルメされていて、とのルートが近いのか判断し難い。森林公園の中に設置する地図ぐらい、ルートを正しく判断出来る地図にしてもらいたいものだ。足柄峠から2時間30分、漸く酒水の滝に到着する。ここから駅までは30分位、滝の傍で始めての大休止にする。小田原で購入した鯵寿司を肴に、飲んだビールが美味しかった。 |
名瀑 「酒水の滝」 |
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