●那須の山旅
カタクリ会の第125回山行で、那須の南月山と茶臼岳に上ることになった。那須茶臼岳は今回で三回目の登山だ。一回目は30年以上前の幼少の頃で、親に連れられてロープウエーを使って上ったことがあるが、濃い霧の中、大きな岩稜地帯を登ったおぼろげな記憶。二回目は5年程前に三本槍ヶ岳を登った帰りに寄ったのだが、この日も天候には恵まれなかった。今度こそは好天の那須茶臼を期待したい。
都内で集合し東北道を走っていると、フロントガラスに水滴が付き始めた。目指す那須方面を見ると、灰色の雲に覆われている。高速道を降り、一般道で高度を上げてゆくと霧は一層濃くなり、フォグランプでも頼りないほどになった。今回初参加のメンバーもいるが、初めての山行に際しての天候悪いと、山に対しての印象も悪くなる。「今日もガスの中を歩くのか」と、今日の天候を半ば諦めていたら、ロープウエーの山麓駅の辺りで雲海の上に出た。この日は雲が低く、雲の上は快晴。スカッとした気分の良い青空が広がっていて、思わず笑みがこぼれる。 |
青空が広がった那須高原
那須茶臼岳
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気分良く歩き始める
火山性の岩稜帯を歩く
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●健脚組は麓から
今回は集合場所の関係から、車のほか鉄道とバスでロープウエー山麓駅までやってくる組に別れたが、鉄道組がやってくる迄に1時間ほどの余裕がある。当初の計画ではロープウエーを使って上る計画であったが、せっかくの好天気。歩きたい。ここでロープウエー組と健脚組に別れ、健脚組は「峰の茶屋」経由で歩いての登ることにした。平均年齢の高いカタクリ会であるが、今回は20歳台の若手も2名参加している。彼等は当然健脚組。足の速いオールドメンバーも負けられない。「ロープウエーで登ったのでは後で何か言われそうだな」と、健脚組を志願する者もいた。爽やかな空気の中、気分良く歩いていると、左手に朝日岳が迫ってきて、「高原を歩いている」気分が高まる。登山口から約40分の行程で、難なく「峰の茶屋」に到着することが出来た。ここから奥会津の山を眺めながら、茶臼岳の向こう側を一回りする。所々で噴出している硫黄の煙やチムニーを見物しながらの登山道は、変化にとんでいて飽きる事が無い。 |
噴煙を上げる茶臼西麓 |
茶臼岳を廻りこんで歩く
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ロープウエー組と合流
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●一日二山 写真をとったりしてのんびりと歩く事30分で、合流地点に到着した。ここでロープウエー組みを待ち、全員そろって南月山へ向かって歩き始める。那須の茶臼岳周辺は、高い木々が生えておらず背の高さぐらいの潅木帯が一面に広がっていて、視界が良く効く。新緑で黄緑色になった潅木から、残雪を残す会津の山々が見え隠れする様は実に楽しい眺めだ。気分良く登って行くと、若葉の潅木地帯を抜けて峰桜の群落地に出た。背の高さほどの木々の枝には、桃色をした可愛らしい花が咲いていて丁度見頃になっている。空の青、芽吹いた新緑の黄緑、薄いピンク色の峰桜と、楽しいコントラストになって目を楽しませてくれる。視線をあげれば、其処には噴煙を上げる那須茶臼岳。景色に見とれているうちに、あっという間に南月山の山頂に到着した。目だったピークでは無い平坦な山ではあったが、景色を楽しむ事が出来た那須南月山である。
山頂で全員が揃ったところで昼食タイムに入る。以前の様な「山上の宴会」は無くなり少々寂しくはあるが、熱い味噌汁を戴きながら各自持参の弁当を広げる昼食も、また楽しいものだ。新緑の山景色を肴にした贅沢なランチタイムを過ごした後は、記念撮影を済ましてから茶臼岳へと取って返す。山頂へのショートカットを試みたメンバーの登頂が遅れ、一時は「捜索か?」と心配したが、やがて岩の間から姿を現し、無事に全員で茶臼岳の山頂で記念撮影をする。爽やかな空気と良い展望を楽しみながら、「一日2山」の山行となり、久しぶりに充実した山行が出来たカタクリ会であった。
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新緑の潅木帯を歩く
峰桜群落をゆく登山道
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茶臼岳の山頂
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見頃だった峰桜
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南月山の山頂
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