●ヌクビ沢登山道、通行止め
夏山の登り収めに、南アルプスでのテント泊山行を計画していたら、一日しか山行に当てられなくなった。天気予報を見ると、新潟方面が最も天気が良さそうだ。数年前に登ったものの、最高点を踏みそこなった「巻機山」に狙いを定め、早朝の東京を後にした。「巻機山」には幾つかのルートがあるが、遅くまで雪渓の残るヌクビ沢沿いのルートは、夏向きのルートである。95年の夏にヌクビ沢から割引山に突き上げ「巻機山」に登ったが、今回も同じ「涼しいルート」で登るつもりであった。
清水の部落から林道に入り、登山口となっている駐車場に車を入れ、6時頃に歩き始めると直ぐ、「ヌクビ沢コース登山禁止」の看板に出くわした。今年は例年より雪が多かったせいで、谷筋に残る雪渓が不安定の為、沢沿いの道が危険な状態なのだそうだ。例年ならば、お盆の頃からは「ヌクビ沢」沿いに登れるのだが、今年はまだしばらくかかる様である。前回、下山路に使った「井戸尾根コース」を辿って登ることにした。
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雪渓をすり抜けるヌクビ沢コース
(95年夏)
ヌクビ沢、登山禁止の看板 |
三合目付近の登山道
ダケカンバの中を進む六合目付近
7合目からは笹原の中を登る八合目付近のガレ場
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●ダケカンパの中、快調に高度を稼ぐ
尾根コースの登山道に入ると直ぐ、ブナ森の中の登りが始まる。道巾は広く歩き易い。登山道に入って直ぐ三合目の標識が現れた。麓の清水部落の神社から数えている様で、なんだか2合分得した気持ちになる。岩と良く踏まれた黒土の登山道を登ること約45分で、五合目に到着した。標準コースタイムは1時間20分になっているが、朝の涼しい時間であったせいか快調なペースだ。五合目で初めて視界が開ける。ここからは尾根づたいの、赤土の道となった。前日に夕立でもあったのだろうか、道が滑りやすい。
明るい疎林の中の登山道を登っていくと、所々で視界が開ける。六合目の標識をやりすごして数分登ったところに、ヌクビ沢方面の視界が開けていて、風通しの良い木陰の広場になっている場所があった。ザックを降ろして一休みだ。(下山時にはここで30分近くも、のんびりしていました。)
●笹の中の急登
7合目で森林限界を超えると、笹原の中の道となる。7合目〜8合目辺りまでが、尾根ルートでは一番の急登であるが、目の前に「ニセ巻機」のピークが見え、稼いだ高度を確認しながらの登りだ。八合目付近のガレ場を越えると、程なく九合目の「ニセ巻機山」山頂に到着した。 |
●ニセ巻機で始めて見える巻機山本山
9合目まで登ると初めて、今迄「ニセ巻機山」に隠れていた巻機山本山が姿を現した。いかにも越後の山らしく、頂上部は笹原に覆われている「ふっくらとした」山容をした山だ。9合目からは一旦本山との鞍部に下り、ひと登りして御機屋に到着する。この鞍部に非難小屋があった。(裏に御手洗いがあったが、トムラウシのヒサコ゜沼以来の強烈な御手洗いであった。どうか換気扇をつけて下さい。) |
巻機山本山 |
御機屋
御機屋から牛ヶ岳方面を望む
朝日岳方面分岐店に立つ標識 |
●御機屋から山頂へ
巻機山には1930mの「割引岳」と、1961mの「牛ヶ岳」と言う二つの三角点ピークがあるが、「巻機山」と言うピークは残念ながら存在していない。地図で見ると、最高標高が1967mとなっているが、三角点ピークでは無かった。最高地点に最も近いと思われる標識は、朝日岳方面への縦走路分岐点立っている「巻機山東面自然環境保全地域」と書かれた標識であるが、地形図上のピークとはずれた場所にある。尾根コースを登り詰めたところにある「御機屋」には、「巻機山⇒」と記された標識が確かに立っているのだが、肝心の「巻機山」の標識が無い。してみれば、割引岳〜牛首山までの山体の総称が巻機山という事なのだろうか。
95年夏に登った時には、ヌクビ沢から割引岳に突き上げ、平滑な山頂部を御機屋まで歩いた後、「巻機山⇒」の標識の前で記念撮影して、尾根コースを下山した。「⇒」を見落として、御機屋が山頂だと思っていたのである。「⇒」に気が付いたのはす゜っと後の事で、山頂を踏んでいないと思ってから、再登しようと心に決め、それが今回の山行になった訳である。
しかし心地よい風に吹かれながら、伸びやかな山頂部で腰を降ろしビールを飲んでいると、ピークを踏んだかどうかなんかなんて事は、些細な事に思えてきた。「天気の良い夏の日に、広々として気持ちの良い山頂を持つ巻機山の上にいる。その事だけで十分楽しい事ではないか。」
この日は、山頂でのんびり1時間位の時を過ごしてからの、下山であった。 |
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