槍ヶ岳

3180m
2000年8月12〜13日 歩行時間  1日目  約4時間
        2日目 約10時間
上高地 →  徳沢園  →  横 尾  →  槍見河原  →  槍沢ヒュッテ  →  槍沢幕営地
10:00   11:30/40  12:30/45  13:20/30    14:10/20      14:45
槍沢幕営地→ 水沢 → 槍ヶ岳山荘 →槍ヶ岳→ 槍ヶ岳山荘 → 水沢 → 槍沢幕営地 → 横尾 →上高地
4:30   6:00/10   7:35/55 8:15/30 8:45/9:15 10:15 11:30/12:00 13:30  16:10



●上野原〜国立府中、事故渋滞30キロ
 北アルプスの中で、今まで登りの残してきた槍・穂高周辺の山域に、2000年の盆休みを利用して出かけることにした。初日に上高地から槍沢沿いに殺生ヒュッテ迄入り幕営、2日目は槍ヶ岳登頂の後に涸沢まで移動して幕営、3日目に奥穂高岳に登り下山、と言う計画であった。プランの成否は、初日に予定通り殺生まで入れるかどうかであったが、家を出て30分でつまずいてしまう。沢渡に6時前に入り、一番のバスで上高地入れる様に、深夜2時頃に東京を出発したのだが、中央高速に乗るとすぐ「上野原〜国立府中、事故渋滞30キロ、所要時間3時間以上」と出ているではないか。乗ったばかりの中央高速を調布で降りて練馬へ移動、関越道・上信道経由で松本に向かうことにしたのだが、上信道に入る時間帯には、既に帰省の渋滞が始まっていた。結局、沢渡に到着したのは9時過ぎで、上高地のバスターミナルを歩き始めた時には10時になっていた。幕営予定地を、「殺生」より3時間ぐらい手前の「槍沢」に変更、ターゲットも第一目標の「槍ヶ岳」に絞っての出発である。  

観光客で一杯の上高地


槍見河原で一休み


平坦な登山道が続く

槍沢上部、幕営地はこの下流
●観光客に囲まれて、登山者同士は目で挨拶
 
上高地が一大観光地であることは承知していたが、夏休み中ということもあって本当に人が多い。バスターミナル〜河童橋〜明神池の間は、大きなリュックを背負って歩くのが、場違いに感じる程である。登山者はすれ違う時に、「こんにちは。」と挨拶することが多いのだが、大勢の観光客に囲まれる中では、軽く会釈して目で挨拶を交わしていく。
  上高地から遊歩道を約2時間半、横尾に到着すると、漸く登山者の領域になって来た。ここで涸沢から穂高岳に至る道と分かれ、槍沢沿いの登山道に入る。ただ登山道と言っても、急な登りの箇所も無い。平坦で歩き易い道が続く。横尾から約40分、天気のいい日には「槍ヶ岳」が見えると言う、「槍見河原」に到着する。沢沿いに開けた河原は、ザックを降ろして一休みするのにうってつけの場所であった。川面からの風が心地よい。
  
生ビールを横目に、槍沢幕営地へ
 
 「槍見河原」から、なおも槍沢沿いの道を進む。吊橋を渡って、ひと登りすると「槍沢ロッジ」に到着した。ヒュッテ前のテーブルでは、早く着いた登山者達が「生ビール」を美味しそうに飲んでいる。幕営地まであと30分。ジョッキ一杯700円の生ビールに、喉から手が出かかったが、ここはぐっと我慢。ヒュッテでテントの受付をした後、早々に出発する。
  槍沢の幕営地は、石積みの旧槍沢小屋跡に設けられている。飲料水は近くの雪渓からホースで引水されている他、仮設のトイレも設置されているのだが、場所が狭い。既に大小20張程のテントが、所狭しと設営されていて、張り切れないテントが槍沢の河原に設営されていた。本来的には、河原でのテント設営は鉄砲水や増水の危険を伴う為、避けるのが望ましいのだが、いかんせん場所が無い。危険承知の河原での幕営となった。万が一を考え、貴重品と必需品はサブザックに入れておく。後からテント受付の確認にきた槍沢ロッジの人に聞くと、「テントを設営している河原部分は、雨で増水しても、堆積した小岩の下を伏流水となって流れるだけで、雪解け時以外はまず大丈夫。」と言っていたが、「万一のときは、走って避難して下さい。」との事。気を引き締めてのテント泊となった。
  
●天狗原への分岐点
  2日目は朝3時に起床、うっすら明るくなり始めた4時半に、ヘッドランプを点けて幕営地を出発した。槍沢の幕営地から約1時間、天狗原への分岐にさしかかる。「大岩」と書かれた岩の手前で、槍ヶ岳への道は直角に右折している。白ペンキで矢印も書かれているのだが、この近辺の登山道は、幾筋も並行した踏み後が、離合集散を繰り返している。矢印を見落として、大岩の脇を進んでしまった。程なく登山道を示す◎印が、雪渓の反対側に現れた。これは変だと地図で確認すると、どうやら天狗原への道に入り込んでしまった様だ。よく見れば右手の上に伸びる別の谷筋を、登山者の一団が登っていくのが見える。登りかけた正面の沢を大岩まで引き返し、槍ヶ岳への登山道を登り直す。約15分のロスだ。
  
槍ヶ岳へは大岩手前で右折する


雪渓の反対側の◎印は
天狗原へのルート


殺生直下のガレ場を登る
●雲の中、槍ヶ岳山荘に到着
  天狗原への分岐点から約30分、水沢の水場に到着した。登山道のすぐ脇の斜面から、冷たい水が涌いている。ひんやりとした清水が、喉に心地よい。槍沢幕営地から槍ヶ岳山荘までの、ちょうど中間点だ。ここから登山道は、ガレ場をジグザグに進んでいく。見ると岩に1550の数字がかかれている。標高1550?ではなかった。誰が計ったのか、槍ヶ岳山荘のある稜線部までの距離であった。表示はおおよそ100m刻みで、小屋まで続いている。ガスで展望が無く、自分の登っている位置が確認できない時には、この表示が励ましになる。「あと100m歩こう。」を繰り返している内に、何時しか目的地にたどり着けるのである。  
●ガスの中、一瞬姿を現した槍の穂先
  殺生ヒュツテを越え、槍ヶ岳山荘の建っている稜線部まで後少しのところに達したとき、一瞬青空が広がった。ガスの間から、槍の穂先が姿を現す。今回の山行の中で、唯一槍の穂先が見えた瞬間であった。(下の写真)

一瞬、雲間にのぞいた槍の穂先




槍ヶ岳山頂
●意外と空いていた槍の穂先
  槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳山頂までは、混雑していなければ往復1時間もあれば登って来れる距離なのだが、人の多い時には2時間待ちの事もあるそうだ。登った日は、時間帯が良かったせいか、天候が今ひとつだったせいか、登山者の数が意外と少なかった。ザックを降ろし、ポケットにみかんを2個入れ、軽装で槍の穂先を目指す。
  梯子や鎖・ハーケンを掴みながら登る道は、危険な箇所は無いものの、確かに渋滞しそうだ。下の方は登りと下りが分かれているが、ハーケンを掴んで登るあたりからは道が1本になる。最後に2段の梯子を登りきると、ひょっこり山頂に出た。3180m、北アルプスの盟主「槍ヶ岳」山頂に到着である。山頂はちょうど雲の上だった。遠く「立山・剣岳」方面の山塊が、時折雲間から姿を現す。風も無く、気持の良い山頂であった。何時の日にか、天気の良い日の再登を胸に誓い、山頂を後にする事にした。

岩に打たれたハーケンを掴んで登る


この2段の梯子の上が山頂


山頂は晴れていた。
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